上がらぬ日本の賃金 越境ECにとっては追い風になるか

越境EC

この30年間、賃金の上昇率が先進国の中でも鈍化している日本。

国税庁『民間給与実態統計調査』によると、1990年の会社員の平均年収は425万2000円。その後、バブルが崩壊たものの1995年の平均年収は457万2000円に上昇。2000年には461万0000円に達している。
バブルは崩壊したとはいえ、90年代は10年で8%程度年収は上昇した。

しかしながら2000年代以降、会社員の平均年収は前年比割れが常態化。
2013年以降はアベノミクス効果で前年比プラスが続いたが、2000年代初頭の水準まで戻らず、2019年調査では436万4000円という結果になった。

海外と比べると、日本の賃金問題がさらに浮き彫りとなる。

経済協力開発機構(OECD)の2020年の調査(物価水準を考慮した「購買力平価」ベース)によると、1ドル=110円とした場合の日本の平均賃金は424万円。
35カ国中22位で、1位の米国(763万円)と339万円も差がある。
この間、韓国は1・9倍に急上昇。日本は2015年に抜かれ、いまは38万円もの差がつけられている。
※下記グラフ参照

どの国も軒並み賃金が上昇しているのに、置き去り状態となってる日本。
なぜ日本は賃金が上がらない国になってしまったのだろうか。

日本の賃金が上がらない原因として、現在に至るまでさまざまな意見が講じられている。

・日本は円安政策だったために、日本企業は企業体質を改革せずとも利益を上げることが可能だった。そのために給与も上がらなかった

・非正規労働者の増大

・各産業のDX化への遅れ

・長年にわたりデフレが続いているため給与水準ベースが相関的に上昇しない

といった様々な要因が推測されている。

しかし、見方を変えると、この状況は越境ECにとっては好機とも言える。
平均収入は増えない、物価が上昇しない日本に対し、この十数年で格段に購買力の勢いを増した海外。
常態的な円安も越境ECにとってはとって追い風となっていることは間違いない。

実際に経済産業省が2021年7月に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の中国・米国向け越境EC市場は前年比14.2%増の2兆9266億円だった。

内訳は米国向け越境ECが同7.7%増となる9727億円、中国向けが同17.8%増の1兆9499億円。
パンデミックの影響も受けることなく、越境ECが順調に規模を増大していることがわかる。

新型コロナウィルスの影響からの脱却もまだ先が見えない日本。
日本の事業者にとっては今こそ、越境ECに目線を向けるチャンスと言えるのではないだろうか。