中国の医療サービス企業が業務提携、「ネットで医療診断から医薬品販売まで」の総合サービスを開始へ

ネット医療診断問診サービスを運営する「春雨医生」(Chunyu Yisheng)は、このほど国内医薬品通販会社の「老百姓網」とネットサービス事業に関して事業提携をすることを発表した。同社のモバイルアプリ「春雨診所」を通じて、ネット上の医療診断から医薬品販売までの一貫したサービスを展開する予定。

モバイルを使って医療診断からと医薬品購入まで~従来の医療に革命をもたらす

「春雨医生」は、中国の公立病院の医師1,400名以上が登録し、ネット上で一般ユーザーからの健康や病気の症状に関する質問に回答するサービスを運営している。モバイルアプリも提供し、現在、そのユーザー数は1500万人以上といわれる。

ネット上でさまざまな医療情報を活用できる。モバイルアプリ「春雨診所」では、、蓄積された医療情報をユーザーが自分で検索して調べる機能と、登録済みの医師に直接問い合わせる機能の二つが主なサービスになっている。たとえば、ユーザーは身体のどこかの調子が悪い時に、アプリに表示された人体図で該当部位を指でタッチし、症状を選択すると、それに関連する病名や治療方法の情報が表示される。また、ユーザはモバイルから音声発信または画像の送信等によって登録されている医師に問い合わせ、無料或いは有料でコンサルティングを受けることができる。

しかしながら、春雨医生の副総裁によると、これまでは医療コンサルティングを受けた後、約30%のユーザは何もしないで終わり、また70%のユーザーのうち、実際に病院に行って治療を受ける人はわずか5%しかいないという。残りの65%の人はモバイルで医師のアドバイスを受けた後は、病院に行かずに医薬品を購入している。このため、同じサイト上でコンサルティング後すぐに医薬品のネット購入ができれば、同社の診断サービスのユーザーにとってさらに使い勝手が良くなる。「現在は問診のみに留まってしまい、必ずしも症状の解決につながる結果をもたらしていない。治療までのプロセスが不完全な状態だった」と同社副総裁は述べている。

春雨は、初期診断サービスに更に専念し、その後の治療に関するプロセスは正規な医薬品販売企業に引き渡すビジネスモデルになっている。また、「老百姓網」の総経理は、今回の事業提携について「医師がユーザーに医薬品を推奨する際に、春雨の問診アプリ上で関連する医薬品についてその一般市場価格と当社特別価格を表示させることができる。複数の製品とその価格簡単に比較できることによりユーザーは安心して医薬品を購入し、早期治療促進に繋がる」と語っている。

巨大ネット通販企業も医療分野への参戦を狙う

医薬品のネット通販を商機とみるのは、春雨医生などの医療サービス企業だけではない。中国ネット通販企業の巨人「アリババ」や「百度」(Baidu)もそろって医療関連分野に布陣し、医薬品市場のシェアを奪取しようとしている。

今年7月、アリババは、同社グループの通販サービス「モバイル・タオバオ」(手机淘宝)と決済サービス「アリペイ・ウォレット」(支付宝钱包)が、「医薬品安全計画」(药品安全计划)の機能をリリースすると発表。モバイル・タオバオのユーザーは、市販の医薬品に付いているバーコードや薬品管理コードを端末で撮影してスキャンするだけで、その製品の真贋がわかり、また、その製品の使用方法や注意事項、生産ロット、流通過程などの情報も知ることができる。

一方、百度(Baidu)も医療情報のシステム化から着手し、密かに医療サービスや医薬品通販事業領域への布陣を始めている。同社は2013年から中国の国家食品薬品監督総局(SDA)と協力し、医薬品20万点以上の製品情報を百度(Baidu)でデータベース化していする。また、「百度健康」という健康サイトをオープンし、サイト上では医療情報のほか、医療サービスについてのユーザーの口コミ情報も掲載。提供する医療情報の領域の拡大を進め、これらによって医薬品ネット通販領域への事業拡張することを狙っている。

調査によると、中国の「O2O」市場の全体規模は2013年に既に4623億元に達し、2012年度より69%伸びている。一方、医療サービス市場は2015年に5000億米ドルを突破するとも予測される。今回の医療診断サービスと医薬品ネット通販サービスの提携は、今後ますます、中国における健康市場の大きな変革をもたらすと考えられる。

[執筆: CMS中国リサーチ部]
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